FXにはチャートを分析するためのツールやインジケーターが数多く存在します。
今回は、その中でも非常に有名で愛用者が多いと言われている『フィボナッチリトレースメント』に焦点を当て、詳しく解説していきます。
まず、フィボナッチリトレースメントの特徴は以下の通りです。
- 順張りにも逆張りにも使える。
- 他の多くのインジケーターと違い、未来を予測することができる。
- フィボナッチ数列という自然界にも溢れている”黄金比率”を使用している。
筆者自身も重宝しており、とても使い勝手が良くおすすめのツールです。
この記事では、今日からすぐにでも使えるよう、重要なポイントや正しいフィボナッチリトレースメントの引き方、実際のトレードにどのように活かすかなど、徹底的に解説しますので、よければ参考にしてみてくださいね!
FXのフィボナッチリトレースメントとは
筆者がFXトレードをする際に必ず活用する“フィボナッチリトレースメント“への知識を深めるために、フィボナッチやフィボナッチの種類について解説をします。
それぞれを順に見ていきましょう!
そもそも”フィボナッチ”とは?
まず、フィボナッチリトレースメントの根幹でもある”フィボナッチ数列”について簡単にご説明します。
フィボナッチ数列とは、イタリアの数学者フィボナッチ(1170年~1259年)が紹介した数列のことで、0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233, 377…と続いていきます。
これは、どの数字も”前2つの数字を足した数字”という規則の数列となっており、一つずつ見ていくと、
0+1=1
1+1=2
1+2=3
2+3=5
3+5=8…
というような形です。
そして、これが一体何なのかというと、実は自然界にはこの数列が数多く潜んでいるのです。
例えば、”うさぎのつがい”や”木の枝の本数”もこのフィボナッチ数列です。
他にも”ひまわりの種の数”や”松ぼっくりの鱗模様の列数”なども、このフィボナッチ数が多いと言われています。
また、”ミロのヴィーナス”や”エジプトのピラミッド”、”パルテノン神殿”の高さなど世界的な芸術品や建造物も、このフィボナッチ数列の黄金比でできているそうです。
これは凄いことですよね。中々、偶然の一致とは言い難い確率ではないでしょうか。
つまり、”自然の原理原則に則った数字”を用いて、それをFXにも活かそうというのが今回紹介するフィボナッチリトレースメントなのです。
フィボナッチには種類がある
FXにおいて、”フィボナッチ”と一言で言っても、いくつもの種類があります。
フィボナッチリトレースメント
- サポート、レジスタンスを確認できる。
- 押し目や戻り目を予測する。
”フィボナッチ”の中で最も有名なツールです。
フィボナッチエクスパンション
- トレンドがどこまで伸びるかを予測する。
- 利益確定ポイントを探る。
これはどちらかと言うと、エントリー後に使うものになります。
自分の持っているポジションをどこまでホールドするのか、利食いポイントの参考にする方が非常に多いツールです。
フィボナッチタイムゾーン
フィボナッチタイムゾーンの役割は、時間軸の転換点を予測することです。
縦軸(価格)ではなく横軸(時間)に焦点を当てたツールです。
こちらも規則性が見て取れますよね。
フィボナッチファン
フィボナッチファンの役割は、相場の勢いを分析することです。
今の上昇もしくは下落は強いトレンドなのか?弱いトレンドなのか?を判断するのに使われます。
フィボナッチアーク
フィボナッチアークの役割は、値幅と時間を分析することです。
こちらは少し使い方や見方が複雑なため、初心者にはあまりおすすめできないツールです。
ですが、サポートラインやレジスタンスラインなどの目安に加え、時間も分析できるため使いこなせれば有効な分析手段になるでしょう。
フィボナッチの中でも、トレーダーがよく使うのが『フィボナッチリトレースメント』と『フィボナッチエクスパンション』です。
これらは価格が今後どこまで戻って、どこまで進むのかを見極めるのに役立つツールとなっています。
フィボナッチリトレースメントとは
相場においては価格が継続して上昇、下落するといった一定方向のトレンド(方向性)が形成されることが多くあります。
ですが、そういった場合でも一直線に上がり続けたり、下がり続けたりすることはほとんどなく、大抵の場合上昇と下降を繰り返しながら、波を作り、最終的にトレンド方向に動いていきます。
そしてこの際の戻りを、上昇トレンドの場合は『押し目』、下降トレンドの場合は『戻り目』と言います。
この押し目、戻り目がどこで反発するのか?どこから再度トレンドを作っていくのか?というのをゾーンとして表してくれるのがこのフィボナッチリトレースメントです。
具体的には、先ほど説明したフィボナッチ数列を発展させた”フィボナッチ比率”を使用します。
フィボナッチ数列のそれぞれの数を1つ後ろの数字で割ってみると、
1÷1=1
1÷2=0.5
2÷3=0.67
3÷5=0.6
5÷8=0.625
8÷13=0.615
13÷21=0.619
21÷34=0.618
34÷55=0.618
55÷89=0.618
このように途中から永遠と”0.618”という数値が並びます。
また、同様に2つ後ろの数字で割ると”0.382”、3つ後ろの数字で割ると”0.236”といった数字を導き出すことができます。
これらを反発ゾーンとし、押し目買い、戻り売りを狙うのが一般的な使い方になります。
非常にシンプルで強力なのがこのツールの特徴でもあります。
フィボナッチリトレースメントの重要なポイント
では実際にフィボナッチリトレースメントを使う上で、どういった点に着目すべきなのでしょうか?
FXトレードでは、様々な分析ツールが利用されますが、フィボナッチリトレースメントはその中でも特に人気があり、その効果的な使用方法を理解することはトレーダーにとって大変重要です。
ここでは、フィボナッチリトレースメントを使う上で、最も重要なポイントを3つ解説します。
それぞれを順に見ていきましょう!
重要なライン
チャートにフィボナッチリトレースメントを描画すると、たくさんのラインが表示されます。
多くのチャートソフトでは、0%、23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、78.6%、100.0%などが表示されますが、中でも特に重要とされているラインが3つあります。
38.2%
フィボナッチリトレースメントの38.2%は、3つの重要なラインの中の最初のサポートライン・レジスタンスラインになります。
画像のように下降トレンドの際に戻り高値を形成すると、1つ目のレジスタンスラインである38.2%で強力な売り圧力を受けて、そのまま下降トレンドを再開させます。
50.0%
フィボナッチリトレースメントの38.2%の次に意識されるラインが50%のラインです。
押し目買いや戻り売りを狙い際はフィボナッチ50%に到達した段階で、初めてエントリーを考えます。
38.2%の段階では50%と61.8%の2つの壁が残っているのでエントリーは考えませんが、筆者の経験上では50%はエントリーを考えてもいいラインです。
61.8%
フィボナッチリトレースメントの61.8%はいわば最後の壁です。
38.2%と50%とは異なり、これより上または下に重要なラインは控えていません。
つまり、フィボナッチ61.8%に到達するまで待つことができたら、考えなければならないパターンの数が減り、トレード難易度は減少しますよね。
この3つのラインは、押し目・戻り目の反発点となることが多く、これらのポイントを抜けると、逆にトレンドの転換の可能性が高まります。
これらの重要なフィボナッチレベルを識別し活用することは、トレード戦略において極めて重要です。
ヒゲではなくロウソク足の実体を見る
価格がフィボナッチラインに達したとき、ヒゲではなくロウソク足の実体を確認することが重要です。
実体ベースでしっかりと反発する形が出ない場合、反転せずこのレベルを突き抜ける可能性が高まります。
画像のパターンはしっかりと実体ベースで反発の動きが出て、そこから綺麗にトレンドが継続しました。
ですが、実体ではなくヒゲだけでの反発の場合、無計画に押し目買いに走ることは、損失を大きくする可能性があります。
だからこそ、ロウソク足の実体に基づいて明確な反発を確認した上でのみエントリーを行うことが、リスクを適切に管理し、賢明なトレード判断を支える上で絶対に必要となります。
フラクタル構造を理解しなければならない
フィボナッチリトレースメントを使う上で、フラクタル構造を理解しなければならないという点は非常に重要です。”フラクタル構造”というのは、こちらも自然界に見られる数学的な構造のことです。
簡単に言うと、「小さな部分を詳しく見ても、それが全体と同じパターンが見て取れる」というものです。
この原理は、大きな時間足で観察される市場の動きが、より小さな時間足で同様に展開される現象のことです。
この概念を把握し、大きな時間足での押し目や戻り目の位置を特定した後、それを基にして小さな時間足で具体的なエントリーポイントを見極めるという戦略が有効です。
実際には、長期的なトレンド分析を基に短期トレードのチャンスを探るマルチタイムフレーム分析によるアプローチです。
フィボナッチリトレースメントの正しい引き方
では、実際にフィボナッチリトレースメントはどのように正確に引けば良いのでしょうか?
この疑問に答えるため、ここからはその具体的な方法を5ステップで詳しく解説します!
狙う波を定める
まず、どの波に対してフィボナッチリトレースメントを適用するかを決めることがスタートポイントです。
今回は例として、ドル円の4時間足で見られた強い上昇の波を選択します。一旦ピークを付けて押し目になるかという状態です。
ここで重要なポイントとして挙げられるのは、可能な限り大きな時間足でフィボナッチリトレースメントを使用することをお勧めします。
なぜかと言うと、ご存知の通り、長い時間足を利用することで、チャートに現れるノイズや誤解を招くような急騰急落のような値動きが少なくなり、よりクリアに市場の本質的な動きを捉えることが可能になるからです。
これを意識することにより、より信頼性の高いトレード判断を下すことができます。
波のヒゲ先同士を結ぶ
分析する波を決めたら次に、波のヒゲ先同士を結ぶようにフィボナッチリトレースメントを引きます。
上昇トレンドの場合はその波の安値から高値へと、下降トレンドの場合は高値から安値へとフィボナッチリトレースメントを配置します。
これでトレンドの方向性に沿ったフィボナッチのレベルを設定することができます。
また、ほとんどのチャート分析ソフトでは、フィボナッチリトレースメントの各比率の表示と非表示を切り替える機能が備わっています。
トレーダーが特定のフィボナッチのレベルを重視しない場合は、それらを非表示に設定して、チャートをよりシンプルに保つことが可能です。
この機能を活用することで、必要な情報だけをチャート上に表示させ、より効率的にチャート分析を行うことができます。
重要ラインでのロウソク足の実体でのサポートを見る
価格が重要ラインでもある38.2・50・61.8のラインに到達した時に、そのゾーンで反発がありそうかどうかを確認します。
この場合ですと、38.2%でヒゲになり、何度も反発していることが分かります。
ですが、この時に注意しないといけないのが、ヒゲではなくロウソク足の実体を見て、しっかり反発を確認してからエントリーするということです。
大きな陰線の後に、大きめ陽線が出ての反発の兆しが出てきましたね。
こうなるとエントリーを検討していきます。
短期足を分解する
ここまで4時間足で大きな波を見ていましたが、ここからはさらに時間足を落として、細かく相場の動きを見ていきます。
このアプローチにより、大局的な動きの中で生じる小さな変動を捉え、トレードの精度を高めることが可能になります。
こちらは該当部分の15分足ですが、やはり38.2%付近で何度も反発していることが分かります。
この観察から、短期間での価格の振る舞いが、長期足で識別された重要なフィボナッチレベルにどのように関連しているかを理解することができます。
これにより、大きなトレンドの中での小さな動きを利用して、エントリータイミングをより正確に決定することができます。
エントリーのタイミングを決める
あとはさらに下位足まで落とし込み、エントリータイミングを測っていきます。
これにより、市場の動きをより細かく捉え、適切なタイミングでのエントリーを目指します。
例えば、
- 5分足ベースで高値安値を切り上げるいわゆるダウ理論に基づいてエントリーする。
- 5分足での波を探し、その38.2%でエントリーする。
といった形です。
これらのアプローチは、短期間での価格変動を利用してエントリーポイントを見つける方法を示しています。
ここで選択する戦略は、最終的にはトレーダーの個人的なトレードスタイルや目標によって決定するべきです。
FXのフィボナッチリトレースメントのまとめ
いかがだったでしょうか?
フィボナッチリトレースメントは、相場の特定のレベルで反発することを予測する強力なツールです。
その使いやすさ、分かりやすさ、シンプルさなどから多くのトレーダーに愛用されていることも納得できますよね。
しかし、フィボナッチリトレースメントを単独でトレード戦略に依存するのではなく、他のテクニカル分析やファンダメンタル分析などと組み合わせて利用することの重要性を忘れてはいけません。
このツールの真価を理解し、実際にご自身のトレードに取り入れてみることで、その有効性を直接確認していただくことを強く推奨します。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] […]