”ダウ理論”はFX市場に足を踏み入れたことがある方ならば、誰もが一度は耳にしたことがある、非常に有名な相場理論の一つです。
しかし「その具体的な内容やどういった理論なのか?」を説明出来る人は意外にも少ないのが実情です。
今回はそんな、広く知られつつも深くは理解されていないダウ理論について徹底的に掘り下げ、その魅力や応用方法についても紐解いていきます。
FXトレードにおけるチャート分析の知識を深めたい方はぜひとも参考にしていただければ幸いです。
ダウ理論とは
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ダウ理論は市場やチャートを理解する上で、必ず抑えておかなければならない知識です。
全ての投資家やFXトレーダーの礎になっています。何度も見返して完全に理解できるように頑張りましょう!
それぞれを順に見ていきましょう!
ダウ理論の起源
ダウ理論は、19世紀にチャールズ・ダウによって提唱された相場分析理論で、元々は株式市場の動向を分析するために開発されました。
ですがその分かりやすさと有効性から、現代では株式市場だけでなくFX、仮想通貨、コモディティ市場など、あらゆる金融市場でのチャート分析に幅広く使用されています。
ちなみに、このチャールズ・ダウ氏(1851年~1902年)は、現在ニュースでも当たり前のように取り上げられている”平均株価”の概念を作り出した人物であり、米株市場の最もメジャーな「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」は彼の社名がつけられています。
また、自らが創立した「ウォールストリート・ジャーナル」を通じて、ダウ理論を広め、チャート分析の基礎を築いた偉大な人物です。
話を本題に戻しましょう。ではまず、ダウ理論の特徴から見ていきましょう。
ダウ理論の特徴
- 市場のトレンド理解
- テクニカル分析の基礎
- トレード戦略の基盤
それぞれを順に見ていきます!
市場のトレンド理解
市場に発生するトレンド(一方向に値動きが進むこと)の性質を6つの法則で説明しています。
ダウ理論の中でもこの6つの法則が非常に重要なポイントになっています。
チャート上に発生する上昇トレンドや下降トレンド、レンジ相場が発生する理由は、後ほど解説する6つの法則にあると言われています。
テクニカル分析の基礎
現代のテクニカル分析において広く使われている概念や、用語の多くはダウ理論に由来しています。
例えば”上昇トレンド”や”下降トレンド”といった基本的な相場の動きを理解するための用語は、ダウ理論から派生したものです。
ダウ理論が、現代のテクニカル分析の基盤になっていることがわかりますよね。
トレード戦略の基盤
トレード戦略を立てる上での基礎的な考え方として位置付けられています。
市場のトレンドを識別し、それに沿ってポジションを取るという基礎的なアプローチはダウ理論に基づいています。
ダウ理論が提唱されてから100年以上が経つ現在でも、絶えず広がりを見せており、これは市場の本質が当時から大きく変わっていないことやダウ理論が本質を捉えていることを示しています。
ダウ理論の6つの基本法則
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ダウ理論の6つの基本法則は以下の通りです。
一見複雑そうな法則に見えますが、計算式や難解な単語は一切ないので、FXトレードに関する知識がない方でも必ず理解できます。
かなりのボリュームではありますが、1つずつ着実に理解を深めていきましょう!
平均価格は全ての事象を織り込む
最初の法則は、経済指標や金融政策、戦争やテロ、災害などの突発的な事象も含め、あらゆる事象はチャート上の価格動向に反映されているというものです。
この理論は、市場参加者が現在知り得る全ての情報はチャートに織り込まれていると考え、過去のデータや将来の期待なども含め全てを集約した結果だとされています。
この考え方はテクニカル分析を行う上で非常に重要です。
市場は個々のニュースやイベント、経済データの発表に反応して動くと同時に、トレンドやチャートパターンが形成されます。
そのため「チャートが全てである」という視点を持ち、それに基づいてトレード戦略を立てるべきだというダウのメッセージを伝えています。
実際に筆者は、FXトレードをする際にファンダメンタルズ要素はすべて除外して、チャートのみを参考にするテクニカル分析を主軸にトレードをしています!
トレンドには3種類ある
![トレンドのサイクル](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/trend-cycle-1-1024x598.webp)
- 上昇トレンド:連続する高値及び安値がそれより前の高値・安値を切り上げる
- 下降トレンド:連続する高値及び安値がそれより前の高値・安値を切り下げる
- レンジ相場:方向感がなく、高値安値はまちまちな状態
トレンドとは相場の方向性を表す言葉ですが、ダウはこのトレンドを上昇トレンド・下降トレンド・レンジ相場という3つのカテゴリに分類しました。
この3つのトレンドの具体例を見て、それぞれのトレンドの形を覚えましょう!
![上昇トレンドの例](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/uptrend-1-1024x538.webp)
また、さらにそのトレンドの推移について3種類に分類することができます。
長期トレンド(プライマリーサイクル) | 1年から数年継続するトレンド |
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中期トレンド(セカンダリーサイクル) | 3週間から3ヶ月程継続するトレンド |
短期トレンド(マイナーサイクル) | 3週間未満のトレンド |
このトレンドの特徴としては、中期トレンドは長期トレンドと、短期トレンドは中期トレンドと逆方向に動く、いわゆる”調整”をする役割を担っています。
このトレンド推移の分類に関しては完全に理解する必要はありませんが、これは「フラクタル構造」に大きく関係します。
筆者のトレードのノウハウを完全に理解したいという方は、この記事を最後まで読んでダウ理論をマスターした後に、こちらのFXのフラクタル構造に関する記事を読んでみてください!
主要トレンドは3段階からなる
![トレンドのフェーズ](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/trend-phase-1-1024x525.webp)
- 先行期(蓄積期)
- 追随期(参加期)
- 利食い期(分配期)
トレンドを3種類に分類しましたが、トレンドには更に3段階のフェーズがあります。
この3つのフェーズは上昇トレンドと下降トレンドの両方において当てはまることです。
先行期(蓄積期)
テクニカル分析を元にしたFXトレーダーや投資家が、底値(一定期間中における一番安いと思われる値段)で買ったり、天井(一定期間中における一番高いと思われる値段)から売りを仕掛けたりすることで、価格がやや停滞し、緩やかな動きが出始めます。
いわゆる初動となる段階で、筆者がエントリーをする際は、先行期にポジションを仕込むようにしています。
追随期(参加期)
先行期で買いや売りの動きが活発となり、トレンドが発生し始めると、そのトレンドに乗り遅れまいと、他のトレーダーや投資家たちが更に参入してきます。
これにより価格の急激な上昇または下降が起こりやすくなり、”ダマシ”のようなふるい落としと言われる動きも多くなります。
仮に追随期にロングやショートでエントリーをした場合、チャートが乱高下する事が多いので、含み損や含み益の価格の振れ幅が大きくなります。
特にFX初心者の方は、正常なメンタルを保つことができないと思うので、トレンドへの飛びつきには注意が必要です。
利食い期(分配期)
先行期でエントリーしていた投資家が利益を確定するためポジションを解消し始めます。
この段階になると、初心者の参入も増え出来高も増えていきます。
しかしその後、トレンドの勢いが弱まり市場のサイクルが終了します。
これらの段階があることを理解することで、トレーダーは市場の周期を利用して、より有利なポジションを構築することができます。
高値掴みや飛び乗りなどの危険なトレードをする危険性がグッと低くなるでしょう。
平均は相互に確認されなければならない
この法則は市場の異なるセクターや指標が互いに一致する動きを示すことの重要性を説いています。
その背景には、ダウ理論は構築当初、工業株価平均と鉄道株価平均の2つの指標によって構成されていました。
当然、これらの指標は異なるセクターのため、バラバラに動くことがほとんどでした。
しかし、ダウはこれら2つの指標が同時に同じ方向に動く時、市場における本格的なトレンドが出る予兆になることを見出しました。
これは、為替通貨ペア(FX)においても同様のことが言えます!
例えば、ドル円、ユーロ円、ポンド円といった異なる通貨ペアが一斉に同じ方向に動き出した際は、強いトレンドが形成されている可能性が高いことを意味します。
この原則を活用することで、トレーダーは市場の強い動きに上手く乗ることができるようになるでしょう。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
トレンドの信頼性を測るもう一つの方法として、”出来高”の分析があります。
出来高とはその期間における取引量のことで、通常、価格が上昇すると売買したいトレーダーが増え、出来高も上昇する傾向にあります。
これは多くの参加者がその動きを支持(トレンドフォロー)している証拠になります。
逆に、価格が上昇しているのにも関わらず、出来高が伴わない場合はそのトレンドは持続しづらい、もしくはすでにトレンド転換しているという可能性が高くなります。
ただし、FX市場においては株式市場と違い、正確な出来高を把握することが難しいため、この原則は当てはまらないと考えられています。
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
![トレンド転換](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/turnaround-1-1024x538.webp)
相場において一度トレンドが形成されると、その動きは明確な反転シグナルが発生するまで継続するという傾向にあります。
この原則はトレンドに乗る、いわゆるトレンドフォロー戦略の基礎となっており、トレンドの転換点を正確に見極めることがトレーダーにとって非常に重要です。
例えば週足チャートを参考にエントリーのタイミングを測っていた際に、4時間足でトレンド転換が発生したら、次は日足チャートでトレンド転換が発生する可能性が出てきます。
このように短期足(下位足)から順トレンド転換が発生し、長期足のトレンドが転換します。
ダウ理論の使い方
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ダウ理論は相場を分析する上で非常に有効なツールです。
しかし、この理論を実際のトレードに応用するにはいくつかの注意点があります。
筆者が長年FXトレードに向き合った上で見つけ出した、ダウ理論の使い方について解説をします!
ヒゲ抜けは騙し
![ヒゲ抜けはだまし](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/not-turnaround-1-1024x538.webp)
ダウ理論を使用する際、特に注意すべきは「ヒゲ」が示すパターンです。
ヒゲとは、ロウソク足チャートにおいて、実体の上下に伸びる細い線のことで、これは価格の一時的な急騰や急落を示しています。
また、ヒゲだけで高値や安値を更新した場合、これを「だまし」と呼び、真の価格動向を反映していない可能性が高いです。
このような価格帯を維持できなかったことは、トレンドがそこまで強くないか、またはすでに転換している可能性があることを示しています。
そのため、ヒゲ抜けだけを根拠にトレンドが転換したと判断するのはリスクが伴います。
ロウソク足の実体で抜く
![トレンド転換](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/turnaround-2-1024x538.webp)
ロウソク足チャートは、相場分析において、最も頻繁に用いられるテクニカル分析ツールで、市場のセンチメントやトレンドの方向性を把握する上で非常に重要な情報を提供してくれます。
特に、ロウソク足の実体を分析することで、トレンド転換・トレンドの継続の判断をより精度高く識別することができます。
トレーダーや投資家によって、それぞれトレンド転換の定義やロウソク足の実体やヒゲの見方は異なりますが、5年間毎日チャートを見続けてきた筆者は、トレンド転換を以下のように定義しています。
「ヒゲをロウソク足の実体で抜けた時」
その理由は非常にシンプルで、ヒゲ抜けをトレンド転換と考えている人も、ロウソク足の実体抜けをトレンド転換と考えている人の両方の目線が一致する瞬間だからです。
このようにチャートの見方を変えるだけで、考えなければならないポイントを必然的に減らすことができますよ!
ダウ理論は勝てない?
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ダウ理論は、市場の動向を把握し、価格変動を予測するための重要な分析ツールとして長きにわたり使用されてきました。
しかし、実際のところダウ理論を使って、FX市場で一貫して勝つことはできるのでしょうか?
それぞれを順に見ていきましょう!
必勝法は存在しない
強力な分析ツールであるダウ理論ですが、トレードの世界において絶対的な必勝法というのは存在しません。
市場は複雑で不確実性な性質を持っており、いわゆる「聖杯」とされるような完璧な戦略は存在しません。
ですが、多くの成功したトレーダーたちは、ダウ理論を含む様々な分析手法を組み合わせて使用し、勝率を高め、リスクを管理しています。
ダウ理論が分析のアプローチとして有効であることはその長い歴史が証明していくれていますが、それだけに依存するのではなく、他の分析ツールや戦略と組み合わせることが、より精度の高い分析への近道と言えるでしょう。
![](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/FXblog_icatch00.webp)
三尊天井・逆三尊に応用する
![三尊天井](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/head-and-shoulder-1024x538.webp)
ダウ理論は、三尊天井や逆三尊などのチャートパターンと組み合わせることで、さらにその効果を高める事ができます。
例えば、三尊天井は上昇トレンドの終盤に現れることが多く、3つの山(中央が一番高い)を形成するパターンです。ヘッドアンドショルダーとも言われます。
これは、上昇のサイクルが弱まっていることを示唆し、反転し下落する可能性が高いことを示しています。
一方、逆三尊は下降トレンドの終盤に現れ、3つの谷(中央が一番低い)を形成します。
これは価格が底を打ち、上昇に転じる可能性が高いことを示しています。
トレーダーはこれらのパターンを利用して、有利なポジションを構築したり、利益確定のタイミングをより適切に判断できるようになります。
![](https://bitastandardscouncil.org/wp-content/uploads/2024/03/FXblog_icatch04.webp)
ダウ理論に関するまとめ
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ダウ理論はFXトレードにおけるチャート分析の基礎を教えてくれるものです。
6つの基本原則とその応用方法を理解することで、市場のトレンドをより正確に読み解き、それをトレード戦略に生かすことができるでしょう。
しかし、ダウ理論の真価を引き出すには、他の分析ツールや戦略と組み合わせることが必要不可欠です。
ダウ理論を単独で用いるのではなく、他のテクニカルツールやチャートパターンなどと組み合わせて活用することが、より効果的なトレード戦略を構築する鍵となるでしょう。
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